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●誰も知らないスーパーカーの真実
スーパーカーはなんといっても高価。とんでもなく高いのだからすべて100点満点な存在かというと実はそうでもない。スーパーカーとはある一点〜それはきらびやかなスタイリングや、官能的ともいえるエキゾースノート〜を実現するために、その他すべてを犠牲にしているのだ。しかし、そんな一芸に秀でた?高価なクルマを作って売れるなら自動車メーカーは苦労しない。なぜスーパーカーだけがそんなわがままを許されるのだろうか?
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●スーパーカー生誕の地・モデナの秘密
イタリアの田舎町であるモデナ近郊に世界最高峰のスーパーカーメーカー達が誕生したことには理由がある。経済的にも豊かな土地であった上に、隣町のボローニャには鉄道をはじめとする重工業が発展していた。世界中からここモデナにスポーツカー作りに命を懸けたつわもの達が集まってくるまでには、さしたる時間はかからなかった。同じイタリアのトリノがフィアットなど量産車の製造に特化したのに対してモデナは、今もまだ一貫してレーシングカーをベースとした少量生産スポーツカーを作り続けている。 |
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●スーパーカー業界の現代
一億円以上もするクルマが限定数をすぐに売り切ってしまう、現在、絶好調なスーパーカー業界。さらに、高くてもいいから自分だけの世界に一台しかないクルマが欲しいというワンオフカー・ブームまで到来している。しかし、モデナ産スーパーカーの現在に至る道のりは安泰なものではなかった。オイルショックをはじめとする景気変動によって幾度もの経営危機に直面したり、それにより会社のオーナーが頻繁に変わり、倒産の危機もあった。しかし、それを乗り越えるだけのブランド・パワーが彼らにはあった。 |
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●真実のフェラーリ
世界のスーパーカー業界はフェラーリを中心に廻っている。エンツォ・フェラーリという稀有なるビジネス的才能を持った創始者は、フェラーリを世界最高のスポーツカーとしてのブランディング確立を行った。そのフェラーリのDNAを引き継いだモンテゼーモロはフェラーリを単なるクルマを製造するメーカーではなく、イベントやアミューズメント施設、マーチャンダイジングなど多彩な事業構造を持つ新しいスタイルの自動車メーカーへと発展させた。そして、新たにマルキオンネ体制のもと、株式上場を敢行し、起業として新しいステップへと踏み込んでいく。 |
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●真実のランボルギーニ
フェラーリ、マセラティという老舗に対抗して誕生したスーパーカーメーカーも多かったがそのほとんどはブランドの確立ができずに消えていった。その中で、独特の経営理念と、天才的情報発信力を持っていたフェルッチョ・ランボルギーニは、緻密なアンチ・フェラーリ戦術?によってランボルギーニブランドを確立していく。その後、パオロ・スタンツァーニというマルチな才能を持つチーフエンジニアはデザイナーのマルチェロ・ガンディーニとともに、ランボルギーニのアイコンたるカウンタックを作り上げた。この独創的な傑作モデルがラインナップされたことによって幾度に及ぶ経済的不遇の時代も乗り切ることができたのだ。 |
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●真実のマセラティ、そしてデトマソ
マセラティは長い歴史を持つスーパーカーメーカーである。マセラティ兄弟という天才たちが作りあげた世界最高峰のレースカーブランドをモデナの一大起業家であるオルシ家による資本投下によりハイパフォーマンス・ロードカー部門を含む自動車メーカーへと発展させた。幾度にも渡りオーナーが変遷したが、デ・トマソ傘下時代におけるドラスティックな方向性の転換は、長年に渡って築いてきたブランド力を弱めてしまうことになり、その回復には長い時間を要した。しかし、フェラーリ傘下の下に大きな投資が行われ、ブランドは見事復活。現在ではFCA(フィアットクライスラーオートモービルズ)グループの中核ブランドとして躍進を遂げている。 |
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●スーパーカーブランドの将来
スーパーカーを所有する魅力とは創始者の描いたクルマ作りの理念を共有するところにあり、そのためにスーパーカーメーカーは少なからず投資を行う。また、このクルマ作りの理念?=ブランドは、ちょっとしたことでその輝きを失ってしまうことを彼らはよく理解しているから、どんな些細なことにも拘り続ける。スーパーカーメーカーのブランドを守り、さらに輝きを増すためのなりふり構わぬ取り組みこそが本物?を生み出すのだ。 |